2008年5月21日水曜日

6月から高速では後席もシートベルトを着用へ!

車の後部座席のシートベルト着用を義務づける改正道交法が6月1日に施行される。高速道路の走行時に違反すると行政処分として運転者が1点減点され、タクシーや観光バスなども例外ではない。事故時の危険性を大幅に減らすことができると期待される半面、業界団体などからは「逆上した客から暴行されるのでは」「酔客や寝ている客への対処は」と懸念の声も。タクシー業界では、自動音声案内装置を導入して乗客にシートベルトの着用を呼びかける動きも出始めた。


 「窓から飛び出て後続車にひかれたり、半分飛び出た状態で側壁に激突するような悲惨な事故も起きている」。大阪府警幹部は後部座席の同乗者が巻き込まれた事故についてそう語る。

 実際、ゴールデンウイーク中の今月3日には、神戸市西区の神戸淡路鳴門自動車道で、母娘3人が乗った乗用車がガードレールに衝突。後部座席に乗っていた中学生姉妹が車外に投げ出され、中学2年の長女(13)が死亡する痛ましい事故が起きた。

 警察庁と日本自動車連盟の昨年10月の調査では、一般道で後部座席のシートベルトをしていたのは5万5409人中4902人で、わずか8・8%。高速道路でも13%だった。「後部座席は安心」という誤った“神話”が原因という。

 後部座席でシートベルトをしないと衝突の弾みで前方に飛び出し、運転者らを巻き込む危険も大きい。

■「自動案内装置」

 事故時の危険性は大幅に減るとはいえ、対応に苦慮しているのがタクシーや長距離バスなどの旅客業者。乗客が着用しないと運転手が減点されるからだ。

 着用義務の周知を図るための「切り札」としてタクシー業界で、期待されるのが、自動的にシートベルト着用を促す音声が流れる案内装置。高速道路に入る際に運転手が「高速」メーターに切り替えると音声が流れる仕組みで、大阪タクシー協会によると、希望業者には6月1日以降、順次導入される予定という。

 高速バスを運行する西日本ジェイアールバス(大阪市)はこれまでも乗務員が車内放送でシートベルトを着用するようアナウンスしてきたが、法改正を受け、啓発ステッカーやチラシを作成。必ず客が目にする位置に掲示し、視覚と聴覚で周知漏れを防ぐ方針だ。


 それでも運転手の不安は募る。「酔客もいれば寝ている客もいるだろう。しつこく言うと逆上して殴られるかもしれない」と語ったのは、大阪市内のタクシー業者。全国個人タクシー協会は4月、乗客が指示に従わない場合は、違反を免除するよう警察庁に配慮を求め「シートベルト着用の周知について『相当の努力』が認められる場合は責任を問えないというスタンスをうかがった」という。

 大阪府警幹部は「原則着用が法律の求めるところ」と前置きしたうえで「事業者や運転手に努力してもらわないといけないが、実際の取り締まりはその場その場の判断になるだろう」と柔軟な姿勢をみせている。

0 件のコメント: